威鶴の瞳



トーマが、みてる。

私を、みてる。



私が見る前から……見て、た……?



とたんに恥ずかしくなって視線を下げる。

心臓が、暴れ出す。



トーマは心臓に悪い。

さすがに怖いとかは思わないけれど、あんな……よくわからないけれど、真剣な視線を向けられていると……恥ずかしくなる、よくわからないけれど。



なんで見ていたの?

テレビを見ていればいいじゃないの?



それは自分にも言えることだけれど。



いつから見てたの?

ずっと見てたの?



私、変な顔とかしてなかった……?

行動とか、普通、だった?

……まず普通の行動がわからない。

普通がわからない。



――スッ、動く気配。