「……考えすぎかな。威鶴じゃないからこういうのは判断できない」
「何が?」
「盗撮とかかもしれない。でも誰にカメラを向けていたのかまでは特定できないから、私にはどうにもしようがない」
そういう感覚を鍛えていたわけじゃないし。
「……何かあったらまたその時に考えるし、今はお昼にしましょう」
――ぷつ
……途切れた意識、ハッと気付いた時には、午後二時。
隣ではトーマがしゃべっていた。
「――だから俺は酒なんかよりも果汁100%派だ。飲んでもカルーアミルク、奴はうまい。お前と同じで牛乳だって好きだし、アイス食うなら牧場のミルクかバニラ――」
「甘党……?」
「……は?だから違――……戻った、か?」
「……うん」
どうやら、また『依鶴』になっていたらしい……。



