トーマの過去を聞いて、正直、辛かっただろうけど、羨ましいという気持ちもわいた。
両親には……恵まれなかったのかもしれない。
でもそれは、私も同じ。
と言うより……親の顔や性格すら、覚えていない。
姉は……私の記憶をもう失くしているし。
私の周りでは、私が一番、崩壊していた。
「トーマさん、トーマさんに、まだ言わなければいけないことがあります」
「……まだあるのか?」
私の気持ち、でも、私ではない人の気持ち。
「威鶴は、トーマさんの逃げ場として、あなたをBOMBとして拾ったんです」
これは、伝えるべきことだと思うから。
「……逃げ場?」
「壊れたものは、直そうと思えば直ります。だから時間を置いて、ちゃんと気持ちが整理出来れば、トーマさんだって家に帰れるようになると思ったから」



