いくらなんでも、度が過ぎていた。
あの時、俺は確かに、『家族の崩壊』を感じた。
そう思ったからこそ、あの両親のいる家に帰りたくはなかったし、定期的に連絡を求めるねーちゃんには、返事をしていた。
BOMBでの初報酬、俺は喫茶店にねーちゃんを呼び出し、化粧室に席を立ったのを見計らい、自分の必要分以外をすべてねーちゃんの財布につっこんだ。
レジでそれに気付いたらしいけど、俺は知らない振りをすることで、無理やり金を押しつけた。
今でもそれは続けているし、ねーちゃんももう、何も言わない。
優しいねーちゃんだから、きっと家にちゃんと入れてくれている。
信頼できる、姉弟だから。
定期的にねーちゃんに会っているうちに、仕事の話もした。
ねーちゃんに紹介カードを渡したはずなのに、なぜだか叶香が依頼をしに来るようになった。
そして威鶴に言い寄るように……。
そうして『今』が完成された。



