俺を抑えようと、なだめようとするねーちゃん。
後ろから羽交い絞めして抑えつけようとする叶香。
怯える母親。
その表情に何も感情を映さない、父親。
その顔がまた、気に障る。
まるで仮面だ。
今思うと、俺はずっとずっと子供だった。
怒りを抑えきれず、叶香も突き飛ばし、何も持たずに寒空の下、俺は家を飛び出した。
それ以来、あの家には帰っていない。
白蛇の倉庫に行ってもイライラは収まらず、仲間に酷いことをし、その居場所からも逃げた。
残ったものは、この身と、無駄に強い力と、ポケットに入れたままでいたケータイ。
母親とねーちゃんからの着信が、バカみたいに連なっていた。
俺はその電源を消し、道端に座り込み、これから先をどう生きるか、考えることにした。
――そして



