送信者は威鶴のはず。

それを彼はなぜ、初対面となる『依鶴』として、私を認識しているのか……。



「あー……占い師の依鶴さんのことは、ねーちゃんから聞いてて知ってたんだ。バイト仲間の威鶴からも身内だみたいなこと聞いてたし」

「……あ、はい」



知ってる。

言ってた。

それは遠くはない記憶の中で、威鶴が話していた。



「それで……今日いきなりその威鶴から『助けろ』ってメールが入ってて、まぁ、いろいろあってここの住所知って」

「はい」

「乗り込んだら、威鶴そっくりのお前が倒れてて」



ここまではわかる。

威鶴が倒れてると思ったはず。



なのに、いつの間にか依鶴だと認識していた理由を、私は――。



「少し揺らしたらお前、目覚ましただろ?」







――え?

そこには、記憶にはない出来事が、存在していた――。



「『どなたですか、苦しい、助けて』っつってたから、とりあえず名乗って、そしたら」