「高校生なんて、まだまたガキだ。喧嘩しか頭にないんだろう。まるで昔のトーマだな」

「ひでーな。これでも俺も族上がりだぞ?頭使って喧嘩することもある」

「それなら急所覚えろ」

「男の急所なら分かる」

「……。もっと格好付く場所覚えろよ。顔面、首、胸、腹、あと関節だな。その指一突きで痛む位置をピンポイントで覚えればいい」

「お前やっぱ人殺せるだろ?」

「そんなことはどうでもいい。先進むぞ」

「否定しろよこえーよ!」



何を情けない。



あの頃、拾ったばかりの時のトーマは、あんなに冷めた目で人を苦しめていたくせに。

いつの間にその威厳は消えたんだ。



そして先を急ぐ。

辺りは暗く、静かなオフィス街。

赤男の過去を見た通りに進むと、一つのビルが見えて来た。



「ここの7階だ」



入ってすぐのエレベーターを使い、7を押す。