聞こえた声に目を見開く。

――ウソだろ……。



ガチャリ、開かれた扉から現れたのは、皿と飲み物を乗せたお盆を持ったトーマ。

サングラスはかけていない、トーマ。



「起きたか。体調どうだ?いづるさん」



――いづる、『さん』……?



俺は理解に苦しんだ。



どういうことだろう?

なに?

なんだ?

なにが起きてる?



とりあえずトーマがなぜここにいるかはなんとなく予想できる。

メールの送信位置から場所を割り出しでもしたんだろう。

一応BOMBのはしくれだ。



それよりも気になるのは、『イヅルサン』。

トーマは威鶴に対してそんな風に呼ばない。

しかも、真顔で、というよりは、心配を含んだ目で。



「……どうかしたか?」

「あ、いや、えっと……」

「竹原透眞ですよ。占い師の依鶴さん、だよな?」