しばらく腕を組んだままの妻(仮)が、ポンと手を打った。 「あえて言うなら報告、かな」 「報告?」 何の? 死んだってことならとっくに知ってるし、成仏できないって報告なら…ちょっと怖いじゃないか。 俺はゴクリと唾を飲み込んだ。 「実は私ね…」 ふたりの間に緊張が走る。 ところが、だ。 妻(仮)の口から飛び出したのは、突拍子もない答えだった。 「私ね、就職したの」