半信半疑、いや、一信九疑くらいの割合で、俺はこれが現実だとは思えない。
でも夢じゃないこともわかっていた。
俺は畳に正座をして、妻(仮)と向き合った。
咳払いをひとつして、呼吸を落ち着かせる。
「たとえば、仮にあなたが仮に紗希だとして…」
「今『仮に』って2回言ったよ、ぷぷ」
「…目的は何なんだ」
俺と彼女との緊張感の差が大きすぎるのが気になったが、構わず続けた。
「目的かぁ…」
うーん、と彼女は腕を組んで考える。
俺は約1年前、たしかに妻の骨を拾ったんだ。
だからこの人が妻だとすると、科学的に証明できない存在となる。
出てきてしまったのなら、まずは目的を知っておかなくては。



