リビングに入ると、明日香が白い箱に入ったケーキを食い入るように見ていた。
このまま顔を突っ込んで全部食っちゃうんじゃないかと思えるほどに夢中になっていた。
「明日香ちゃん、気に入ったのあった?」
と声をかけた相沢の後ろから顔を出し、俺もケーキの箱を覗き見た。
「どれどれ…お!6個もあるじゃん。ひとり2個ずつ食べられるな、明日香」
「アイザワクン、これは何ケーキ?」
おいおいおいおいおい!
俺は無視かよっ!!
「あー…それはチーズケーキだな。何とかベリーソースがけ、とか書いてあったような気がするけど」
相沢が、何だっけな、ラズベリー?クランベリー?とブツブツ言っているそばで、
「明日香はどれにする?」
と俺が言うと、明日香はプイと顔をそむけて、
「ねえ、アイザワクン、これは?これは?」
と相沢の袖を引っ張った。



