「でも三国さんにとっては、天使に見えたんですよね?」
見えたというか、天使だったんだけど。
軽く首を傾げる佐伯さんに、俺は曖昧に頷いた。
「じゃあ怖くなんかないです。本当はただのおばけだったとしても、三国家を救ってくれたのなら、幸せなおばけってことですから」
佐伯さんは、大まじめな顔でそう言った。
「…そっか…」
素直に、うれしい。
素敵だと言ってくれたことも、幸せと言ってくれたことも、素直にうれしかった。
でも同時に妙に照れくさくて、俺はちょっとぶっきらぼうに、
「ありがとう」
と頬を掻いた。



