早朝の青い空気が、徐々に光を帯びていく。


レイノルドはフェンスを越え、水田の広がるのどかな田舎道に立っていた。


遠くの田には何やら作業をする老人がおり、田の脇を走る道路ではトラックや自家用車が通るのが見える。


そこは異国の町だったが、レイノルドはどことなく懐かしい思いでその景色を眺めていた。


すっかり明るくなった視界に広がるのは、圧倒的な緑。

田植えから間もない稲、土手を覆う雑草、道の向こうに臨む山。


見たことのある、色だった。


昔暮らしていた、あのうざったいほど四季の豊かな故郷で見た色と同じ。


「おはようございます。

見ない顔だねえ、どこから来たの」


背後から、好奇心の混ざった声が聞こえる。