天幕を出たところで、マリーナとすれ違った。

さらさらの黒髪が揺れている。


「あらレイノルド、戻ってたの」


レイノルドは、泥のついた顔で笑ってみせた。


「戻りはしないさ。

もう、知ってしまったからな」


首をかしげるマリーナをよそに、レイノルドは野営所を出ていく。


真っ暗だった夜の森に、わずかな光が差し始めていた。