ダイダロスの翼

レイノルドは、脇腹から血の流れる気配を感じ取り、すぐさま銃を捨てた。


同時に、銃声のした方向へ踏み切る。


「……お前!

いきなり撃つなよ!」


昼間の時と同じように、少女の腕をひねり上げる。

ここまで走ってきたのか、彼女の体はほんの少し熱かった。


レイノルドがそんなことを考えていると、銃を落とした少女が不機嫌丸出しで吐き捨てる声が聞こえる。


「悪いと分かっていながら違反する人には、強制手段を使うしかないのよ」

「俺はあんたに会いたかっただけさ」


おどけてそうささやいた台詞は、だが簡単に無視される。


「放してくれない?
救護班を呼ぶから」


「愛想のない奴だな。

かすり傷だから気にするな、それよりあんたと話がしたい。

ちょうど2人とも丸腰だ」


腕を取ったまま腰を下ろすレイノルドに、少女は始めのうちは抵抗していたが。


「……次の仕事が入るまでなら」


不意に目に入った満天の星空に心をほだされたのか、了承した。