ダイダロスの翼

天幕の外、空には星があふれていて、だがその光はレイノルドには届かない。


てんでに茂る分厚い葉が、光をことごとく遮っているのだ。


顔を上げ、レイノルドは暗黒に目を凝らす。


あるのは空ではない。

壁のごとく人を押し込める、常緑樹の葉ばかり。


――検索、『星の

「……」


星座の知識を検索しようとして、やめた。


知識だけを得て、見た気になってどうする。

レイノルドは電脳を手に入れたからこそ、実際に行動する大切さを知っていた。


「……俺は」


昼間、フェンスを越える時にかいま見えた青空が、奥底によぎる。

『フェンスは越えるな』


トールは、たぶん正しい。
だが、それでも。


「俺は、自分で確かめる」