ダイダロスの翼

響く銃声。

肩から散る血。

耳に残る悲鳴。


レイノルドの取引相手は、構えていた拳銃と銃の詰まったアタッシュケースを落として逃走した。



「……どうして」


レイノルドは歯噛みする。


「どうして撃った!

俺は……あいつを助けようと武器を渡したのに!」


「あら、そう」


虚しく地に転がるアタッシュケースを一瞥し、少女は銃を持つ手をレイノルドへ向ける。


「じゃ、あなたも手放しなさい。

その腰の銃を」


撃ち慣れている。

レイノルドは直観的にそう思った。


少女の幼い声にも、銃を構える腕にも、微塵も動揺がない。


好き放題に人を撃ってきたような、躊躇のなさ。


「……お前、『監視者』か」


うめくようにレイノルドが問うと、少女は無表情に小首をかしげる。


「そうだけど。だったら何?

さっさと武器を捨てなさい」


少女は銃をレイノルドへ突き付けたまま。