初恋は実らない

まずはビールで乾杯。

昔なら麦茶やスポーツドリンクが定番だった。
いつの間にかお互いお酒を飲む年になっちゃったんだねぇ。
改めて思う。

記憶の中の淳ペーはジャージ姿。
もしくは詰襟。
そんな姿に見慣れていたのに・・・
今はスーツ姿。

明らかに会わずにいた年月を感じてしまう。


「なぁ、いつ帰って来たん?」

「去年」

「そっか・・・。で、今はどこに住んでるん?
仕事は? 働いとんか?」

「住んでるのは千葉。仕事は英会話学校の受付。
ちっちゃな教室だから雑用とか全般やってる」

「へぇー、そうなんや」

そう話してる間にも次々とお料理が運ばれて来る。
淳ペーが適当に注文したにも関わらず、ハズレが無くどれも美味しい。

「美味しいね!」

「そうやろ?
前に上司に連れて来てもろてん。
美味い割に値段がリーズナブルやから気に入ってんねん」

そう言ってニカッと笑う。

初めて会った時と同じ笑顔。
ひまわりみたいな・・・私が大好きだった笑顔。