「ののちゃん!」

室長の鳴海は、

パソコンに向かってカタカタと打ち込んでいる鮎川に声を掛けた。

鮎川はムッとしながら、眼鏡を指で押し上げて呆れた顔をした。

「鮎川です。鳴海室長。」

「ああごめん、鮎川さん、きょうから、新入社員配属になるからね。」

「は、聞いてませんが?」

「今言ったでしょ。でね、悪いんだけど迎えに行ってやってくれない?

 成田14時ちょうどに着くの。とりあえず家に滞在するから

 私の家に連れて行ってもらえるかな?今日は学生も来ないからそのまま

 直帰でいいから。」

「海外から来るのですか?」

「そう!新婚旅行先でスカウトしてきちゃった。」

「スカウトですか?」