「それで? その子を手に入れて……その温もりを手に入れて、お前は満足したのか?」
ネレイドは黙り込む。
「泣き続ける赤ん坊を見て、それでもお前の心は満たされたのかと聞いているんだ」
悲しみで、彼女の肩は震えていた。ゆっくりと、左右に首を振る。
( ごめんなさい )
掠れた声だった。
( 私の我が儘のせいで、この子の両親だけではなく……この子自身まで悲しませて、ごめんなさい )
ネレイドは立ち上がり、ディオンのもとへと近寄った。
眠っている赤ん坊を差し出す。
「…宿に帰るまで、お前がその子を胸に抱いておけ」
それは、ディオンなりの彼女に対する優しさだった――。


