『私は人間のこと、好きよ』
妖精は、人間のことなんて嫌いなんだと思ってた。
だから、妖精だって僕と同じ考えをしているのだと、思っていたのに――。
『人間がいないと困る妖精だっているの』
アンネッテが、そう言ったから……。
「お、此処から海水がなくなっている」
フェイの声に、顔を上げる。
少し先から、ごつごつとした岩道が続いていた。
休むことなく、奥へ奥へと進んでいく。
すると、次第に何かの音が聞こえてきた。
「なんだ?」
耳を澄ませてみる。
その音は、女のすすり泣く声だった。
ついに、二人は広い空洞へと出る。
見上げれば、空洞は外へと突き抜けており、蒼白い月光が空洞内を照らしていた。
不可解なことに、赤ん坊が浮かんでいるではないか。


