世界の終わりに、君は笑う




「なめるなよ」

短剣を握る手に力を込め、鋭く敵を睨みつける。
暗闇に浮かんでいるかのように見えるスカーレットの瞳は、不気味だ。

「何一人でこそこそとやってるんだよ」

後ろから聞こえてきた声に、ハッとなる。
すぐに左目はサファイアブルーへと戻った。
その誰かが、水獣の腹を次から次へと斬りつけていく。
水のせいで動きにくいというのに、彼の動きは颯爽(さっそう)としていた。

「さすが、元アウリス一の騎士だけあるな」

剣をしまい、フェイは前髪をかき上げる。

「お前なあ、一人で行動するのは大概(たいがい)にしろ」

はぁ、と深くため息をつく。

「どうしてこんな所に来たんだ。今は真夜中だぞ」

「………」

「おい、ディオン」

黙っていないで答えろ、と睨みつける。
すると嫌々口を開(ひら)けた。

「……赤ん坊を取り返すためにだよ」

その言葉に、フェイはぽかんとする。