「教えておくれ、メロー。赤ん坊は、一体どこにいるんだ?」
二人のメローはディオンの方を向く。声を合わせ、再び歌う。
いくら愛の歌を捧げようと
いくら優しく抱き締めようと
人の子が欲しがるものは 母親の愛と温もり
その子の温もりを手に入れようと
その子の心までは手に入れられず
儚く哀れなり 彼女の願い
月夜に照らされし 洞窟の中
悲しみの歌が こだまする
メローが洞窟まで泳いでいくのを、ディオンも追いかける。
「ここか……」
洞窟の中には海水も流れていた。
今は膝辺りまでの水嵩(みずかさ)だが、満潮になれば胸元まで浸(ひた)ってしまうだろう。
( 一人で行くのは危険よ、精霊使い )
自身の金糸の髪を撫でながら、一人のメローが言った。
( この洞窟には水獣がいるわ )
「忠告ありがとう」
まったく危険を感じていないかのように、そう言う。
そして洞窟の中へと入ろうとした。
( ああ、そういえば、片割れに出会ったわよ )
ぴたりと立ち止まる。


