世界の終わりに、君は笑う




誰もが寝静まった真夜中、ディオンはむくりと身を起こす。
プラチナブロンドの髪が月夜に照らされ、美しさを放っていた。
物音を立てずに、こっそりと宿を後にする。

髪を靡かせる風と共に、海の匂いがした。
海辺へと、ディオンは足を向ける。


 海の女神と呼ばれし ネレイド
 人の子に魅了され その愛らしさに思い煩う

 美しき姿の ネレイド
 愛しいが故に 遂に人の子を奪い去る


岩場に座っている一人の人魚(メロー)が、歌っている。



 無邪気に笑いし 人の子
 小さな手で彼女の指を握れば
 彼女はさらに愛らしさを感じる

 その温もりを 手に入れたいと願いし彼女
 一時も離れたくはないと 涙を流しては
 人の子を抱き上げ 逃げ去った

水面から姿を現しているメローが、続くように歌った