「取り替え子を取り返すには、妖精の丘へ行かなければいけない」
「妖精の丘?」
「ああ。妖精の国は丘の内側から広がっている。取り替え子を連れ、妖精の国へと行く妖精も少なくない」
初めて知ることに、フェイは身を乗り出す。
「麦の束を三つ持ち、妖精の丘へ行く。そしてそれをひとつずつ燃やしながら、赤ん坊を返さなければ丘に生えているもの全てを燃やす、と威迫(いはく)すればいい。まあ、取り替え子がすでに妖精の国の物を食べていれば、こちらに戻って来ることは出来ないがな」
「だったら今すぐ妖精の丘に……」
「残念だが、クレタスに妖精の丘はない」
フェイの言葉を遮るように、ディオンが言った。
「そんな……」
「だから無駄だと言っているんだ」
ディオンはシーツへと潜り込む。
「他に何か方法はないのか?」
その後ろ姿に訊くが、返事はなく、代わりに安らかな寝息が聞こえた――。


