世界の終わりに、君は笑う




「待てよ、ディオン」

すぐに後を追って階段を上がる。
一室の扉を開け、中へ入ろうとするディオンの腕を掴んだ。

「攫(さら)われた子が人間だから、手伝わないというのか」

僅かな怒りを含んだ声だった。
ディオンは何も答えない。
人間なんて消えてしまっても構わないと考えているディオンにとって、たとえ赤ん坊であろうと助けたいとは思わないのだろう。

「お前はどうして、人間が消えてもいいと思っているんだ」

「人間なんて、穢(けが)れた生き物じゃないか。己の欲のままに動く、自分勝手で腹立たしい存在だ」

フェイは顔をしかめる。

「その言い方は、まるで全ての人間がレクスのような者たちだと言っているみたいなものだ」

「本当のことじゃないか」

「……ディオン、お前は勘違いをしている」

「勘違いだと?」

鋭くフェイを睨みつけた。