「〝取り替え子〟だな」
ディオンはさほど驚いていない様子だ。
「〝取り替え子〟?」
フェイが訊く。
「妖精が人間の子どもを盗むことだ」
「取り返す方法はあるのか?」
「ある」
その言葉に、女が勢いよく立ち上がった。
「どうか坊やを、坊やを取り返してください!」
お願いします、と何度も言う。
「ディオ……」
「僕は手伝わない」
フェイの言葉を遮った。アンネッテは驚いたように目を見開ける。
「どうして? 私たちのときは助けてくれたのに……」
「助けたいと思うのなら、二人だけでやればいい」
言葉を失ってしまった。
エルフの里でのときとは、まったく対応が違う。
「僕は疲れた」
部屋を案内してくれ、と男に言う。
悲しそうな顔をしたまま、男はディオンを連れて階段を上がっていく。


