……ディオン、いや、セリシアか。
俺はアイツのことを、頼りすぎていたんだな……。
切れてしまうほど強く、唇を噛み締める。
「アンネッテ、何とかして助ける方法を見つけるから……それまで、頑張ってくれ」
苦しんでいるアンネッテを抱き上げる――と同時に、どこからか小さなメロディーが耳に入った。
とても美しい音色だ。
「このメロディーは、確かグウレイグが奏でているもの……」
刹那――フェイはハッとなる。
もしかしたら、彼女は何か助ける方法を知っているかもしれない、と胸の内で呟くやいなや、音のする方へと走り出した――。