世界の終わりに、君は笑う




『ディオンが〝Ⅰ(ファースト)〟だと思うの』

どくん、と心臓が大きく脈打つ。

違う…違う。
〝Ⅰ〟なら、額に漆黒の紋章があるはずだ。
それに、瞳だってオッドアイのはず……。

「来るな、来るなあぁぁぁぁ!」

男の叫び声に、フェイは我に返る。
四匹の狼は次々とレクスの者へと襲い掛かっていた。

「〝電波〟を使って動きを封じ込め!」

二、三人の者が、ある機械を取り出す。
エルフの里で見た物と同じだ。
一斉に、起動ボタンを押す。

「いやあぁぁ!」

アンネッテは耳を塞ぎ、その場に蹲(うずくま)る。
ディオンもまた、頭を押さえた。

「ディオン、アンネッテ!」

大丈夫か、と声をかけるが、二人の耳には届いていなかった。
四匹の狼もまた、悲鳴のように咆哮する。
レクスの者たちの顔は、勝利に満ちる。
が、すぐに青ざめていった。

「そんな、馬鹿な……」

二匹の狼が合体し、双頭と二つの尻尾になる。
体の大きさは、先ほどとは打って変わり、牛よりも遙(はる)かに大きい。

四匹の狼は二匹へとなり、耳に響くほど大きく咆哮する。
アンネッテやディオンは未だ〝電波〟の影響を受けているが、狼はもう受けていないようだ。

勢いよく伸びた尻尾が機械を壊し、もう片方の尻尾はその者の心臓を突き刺す。

「今のうちに此処から……王宮から出るんだ」

頭を抱えながら、ディオンが言った。〝電波〟は消されたが、まだ影響が残っているようだ。アンネッテは意識を失っている。