右手に剣を、左手に君を



「へ、へへ、良かった……」



渚は前髪をいじりながら、試着室から出る。


俺は思わずにやけてしまいそうになるのを、奥歯を噛んで耐えた。


胸の奥が、かゆい。


これじゃ本当に、デートみたいだな……。


丁寧に店員にお礼を言う渚を連れて、次なる目的地へ。


こうして俺達は、衣料品や生活用品を買い求めていった。


みるみるうちに、荷物は俺の両手をいっぱいにしていった。


「よし、これで最後だ」



最後の難関。


下着だ。



「ここは、お前一人で……」


「ふえ……」


「無理だよな、やっぱり……」



俺は恥を忍び、やたらと毒々しいピンク色の壁の下着店に、渚と共に踏み込んだ。



「すいません、サイズを計ってやってください。

妹なんです。こういうの初めてなんです」



俺は早口で言うと、店員に丸投げした。


やがてサイズを計り終えた渚は、小走りで戻ってきた。



「びいの六十五だって~!」


「だっ、アホ!大声出すな!」



何だか、すごく恥ずかしい。


とにかく、何でもいいから早く出よう。


「いいか、これが“B”。これが“65”だ。

もう読めるな?頼むから、後は一人で選んでくれ」


「えぇ~」



渚は泣きそうになったが、しぶしぶ承諾した。


そして、いくつかブラとショーツのセットを選び。


支払いを済ませ、試着室に入っていった。


俺はそれを、テナントの向かいにある長イスに座って見ていたのだけど……。


大変だなぁ、女って。


そんな事を思っていた。


やがて、渚が無事に戻ってきた。



「大丈夫か」


「うん、無事に済んだよ。

見て見て、この乳(チチ)隠し、乳が大きく見えるんだよぉ~♪」


「ば、バカたれっ!!」



初めてのブラに興奮したのか、渚は自らのワンピースの胸をつまみ、俺に中を見せようとした。


ってか、乳(チチ)って言うな!!