これが、最後……。


リカさんの霊力が、背中から、俺の足を叱咤する。


倒れるな。


命をかけて、立て。


そう言っているようだった。


だんだんと呼吸が楽になっていく。



最後だ。



次の一撃が……



最後。




「龍神剣……」



俺は思わず、剣に話しかけていた。



「頼む……お前の力を、貸してくれ。

今度こそ、空亡を滅ぼす力を。

もう二度と、同じ悲劇が起きないように……」



龍神剣は、千年前のように言葉を紡ぎはしなかった。


しかし、返事をするように、

清らかな水で出来た刀身が、ゆらゆらと揺らめいた。



「渚……」



地上からは、俺の帰りを待つ、愛しい人がこちらを見上げていた。


それに、仲間達も。


俺は、深呼吸をし……。



空亡に、向かいなおした。