右手に剣を、左手に君を



「まさか、あいつらまで吸収するつもりか!」



隣を見ると、汗だくの渚がこちらを見た。



「結界、破れるよ!」


「本当か!グッドタイミング!」


「グッ……?」


「何でもいい、早く!」



渚はうなずき、再びまぶたを閉じる。


その間……


触手に拘束されて、もがく迦楼羅たちは。


今にも、空亡の渦へ飲み込まれようとしていた。



「……行くよ!」



渚が、目を開いた。


その手から、清浄な霊力が放出され、

結界が中和されていく。


しかし空亡は、それも気にしていないようだった。


やがて、俺たちを閉じこめていた結界は、

パチンと音を立てて、はじけて消えた。