「まさか、あいつらまで吸収するつもりか!」
隣を見ると、汗だくの渚がこちらを見た。
「結界、破れるよ!」
「本当か!グッドタイミング!」
「グッ……?」
「何でもいい、早く!」
渚はうなずき、再びまぶたを閉じる。
その間……
触手に拘束されて、もがく迦楼羅たちは。
今にも、空亡の渦へ飲み込まれようとしていた。
「……行くよ!」
渚が、目を開いた。
その手から、清浄な霊力が放出され、
結界が中和されていく。
しかし空亡は、それも気にしていないようだった。
やがて、俺たちを閉じこめていた結界は、
パチンと音を立てて、はじけて消えた。



