右手に剣を、左手に君を



「何をするつもりだ……?!」


上空に浮かぶ空亡何に向かって叫ぶ。



《彼等は私のために、よく働いてくれた。

このまま消滅させるのは、忍びない。

……私の一部にしてやろう》


「なっ!!」



まだ意識のある迦楼羅が、その顔に恐怖を浮かべた。



「空亡様、お助け下さい……!」


《何も怖がる事はない。

お前たちの力は、私の中で、永遠に生き続けるのだから……》



そう言うと、空亡の目の回りの渦から、

黒い触手が二本現れた。


触手は高速で伸び、二人の妖に巻き付く。


拘束された体は、ずるずると空亡の方に引っ張られていく。