《役立たずめ……》
二人の勝利を喜ぶ暇もなく、
背後の空から、冷たい声がした。
迦楼羅が、ハッと上を見上げる。
「空亡様……!
どうか、ご慈悲を……!」
それは、彼らしからぬ言葉だった。
まさかあの迦楼羅が、命乞いをするなんて……。
それに対する空亡の答は、なんともアッサリしたものだった。
《もう良い》
「空亡様……」
《お前たちに、新たな命を、与えてやろう》
どういうことだ?
迦楼羅を含め、全員が首を傾げる。
渚は相変わらず、結界を破ろうと必死だ。
玉藻はまだ、炎の中でかすかに息をしていた。
その炎が……。
突然、消えた。



