右手に剣を、左手に君を



《役立たずめ……》



二人の勝利を喜ぶ暇もなく、

背後の空から、冷たい声がした。


迦楼羅が、ハッと上を見上げる。



「空亡様……!

どうか、ご慈悲を……!」



それは、彼らしからぬ言葉だった。


まさかあの迦楼羅が、命乞いをするなんて……。


それに対する空亡の答は、なんともアッサリしたものだった。



《もう良い》


「空亡様……」


《お前たちに、新たな命を、与えてやろう》



どういうことだ?


迦楼羅を含め、全員が首を傾げる。


渚は相変わらず、結界を破ろうと必死だ。


玉藻はまだ、炎の中でかすかに息をしていた。


その炎が……。


突然、消えた。