右手に剣を、左手に君を



しかし……先に膝をついたのは、

迦楼羅の方だった。


避けたとはいえ、深手を負った事に、間違いはない。


砂に落ちた膝元に、真っ二つになった笛が、転がった。


「ぐあぁ……っ!」

「迦楼羅!」



立ち上がろうとすれば、

胸を縦に切られた傷から、血がボタボタと落ちる。


そんな迦楼羅の様子に気づいた玉藻が、

悲鳴混じりの声で、彼の名を呼ぶ。


しかし、玉藻には、迦楼羅に駆け寄る余裕がなかった。


相変わらず、健太郎と一進一退の攻防を繰り広げていたからだ。


「クソ……、人間め!!」

「!!」


健太郎の剣を爪で無理矢理はじき、

玉藻は般若のような顔で、傷ついた雅に突進する!!