右手に剣を、左手に君を



「人間を甘く見るな!!」


雅は、そう言うと……。


するどい切れ味の風をまとった、十束剣を、

迦楼羅の頭の上から振り下ろす!!


ーーザシュ!!!


完全に、相手の姿をとらえた音がしたのに。


迦楼羅は、胸から血を流しながらも、

頭への直撃を免れ、なんとか立っていた。


とっさに、一歩後ろへ引いたんだ。



「くっ……」



先にうめいたのは、雅だった。


今の一撃に、すべてをかけていたんだろう。


迦楼羅の攻撃の中に突っ込んだせいで、

雅の体や服に、焼け焦げた跡があった。


皮膚の所々が焦げ、赤い肉が見えている箇所もある。


それは、相当の苦痛を、雅に与えているようだった。