右手に剣を、左手に君を



ゴオオ!!


火柱が笛から吹き上がった。


それは蛇のようにとぐろを巻き、雅に襲いかかる。



「渚!」

「ごめん、もう少しだから……!!」



隣の渚は、結界に手をついて、汗を流していた。


俺には、見てるだけしかできないのか……!?



砂浜にいる雅に、地獄の炎が牙をむく。


しかし雅は、それをよけようとする様子がなかった。



「雅ーっ!!」



風より早い雅は、そのまま炎の真ん中に突っ込み……。



「バカな……っ!!」



迦楼羅が、笛を口から離した。


徐々におさまっていく炎の中から。


雅が、十束剣を構えたまま、飛び出した!!