雅はいつも、冷静に俺たちを導いてくれた。
冷たく感じる事や、おっとりしすぎているように思うこともある。
でも本当は、誰より仲間の事を考えていた。
自分の意見は、あまり言わない。
けど、雅の考えている事は、ちゃんと皆に伝わっていた。
キモい表現だけど、
お前は俺たちの兄ちゃんみたいなものだよな、雅。
「十束剣……俺に力を!!」
珍しく、雅が大声を上げた。
と同時に、すさまじい霊気が砂を巻き上げる。
一瞬雅の姿が見えなくなった瞬間、
迦楼羅が懐から、例の横笛を取り出した。
「だめだっ、雅!!」
俺の声が届くより早く……。
雅は、風のような速さで、
迦楼羅に向かって切り込んでいく!!
「燃えろ!」
空亡に釘を刺され、余裕のない迦楼羅は、
その横笛に息を吹き込んだ。



