右手に剣を、左手に君を



「……残念だ……」



ぽつりと、迦楼羅がこぼした。



「お前は、三剣士の中でも、一番まともだと思っていたがな。


まさか愚かな人間のために、ここまでするとは……


お前も所詮は、愚かな人間の一人にすぎなかったということか」



迦楼羅は、雅を哀れむような目をした。


立ち上がった雅は、それにひるむ事はなかった。



「そうだ。残念ながら」


「…………」


「俺は、恒一や健太郎と何も変わらない。

ただの、愚かな人間だ」



そう言いながら、雅の言葉には、自嘲の響きはなかった。



「それで、いいと思ってる。

愚かだろうが、まともだろうが、俺は人間で良かった。

恒一や健太郎と、仲間になれたから」



迦楼羅の眉間に、しわがよる。


雅の言っている事がよくわからないんだろう。



「仲間を傷つけるものは、許さない」



雅はそういうと。


十束剣を、しっかりと構えなおした。