右手に剣を、左手に君を



煙の中で、白い影がゆらりと揺れた。


そこから玉藻が現れる。


その首筋から、血がぼたぼたと流れて、

彼女の着物の襟を赤く染めていた。


健太郎の攻撃を、避けきれなかったんだ。



「なんで……」



苦痛に歪む顔で、玉藻は健太郎をにらむ。



「なんで、あきらめないの。


なんで、何度も向かってくるの。


空亡様が復活された以上、あなた達に勝機はないの。


たとえ、私と迦楼羅を葬ったとしてもね。


それなのに……」


「どうして、だって……?」



やはり、苦痛はごまかせないらしく、

額に汗を浮かべた健太郎が同じように息を吐く。



「しらねーよ。

俺は雅やコウみたく、頭良くねーからな。

どうしてって言われても、うまく説明できねー……」


「…………」


「けどな。


俺は、友達や家族を見殺しに出来ない。


何もせずに諦めるなんて、絶対出来ない。


ただ、それだけだ」



……健太郎、それ、ホントに説明になってない……。


……でも、お前らしい。