右手に剣を、左手に君を



同じくらいの高さに浮かぶ空亡から、

低い声が聞こえてくる。



《龍神の姫よ。

そこから良く見ておけ。

あの二人が傷つけられるさまを》


「……!!」



龍神剣を渡さないことへの、報復というわけか。


渚の優しい心に訴えようとするやり方が、

俺には許せなかった。



「渚、大丈夫だ。

二人が負けるわけはない」



強く、言い聞かせる。


多分それは、自分自身への言葉でもあった。


渚はこちらを見つめ……


静かに、うなずいた。



「俺たちは、ここから出ることを考えよう」



空亡が一瞬ではってしまった、小さな結界。


玉藻の結界はラップみたいだったし、

渚の結界は光そのものだった。


しかし目の前の結界は、

防弾ガラスくらいの厚みがあるように思える。


渚は二人を見下ろしながら、結界に手をついた。



「なんとか……中和してみる」


「俺にできることは?」


「大丈夫。

コウくんは、二人の様子を見てて」