右手に剣を、左手に君を



《人間とは、冷たいものだな》



小さい声でも聞こえているのか、

空亡はそんなふうに言った。



《のう、龍神の姫。

こんな人間でも、なりたいというなら、

私がさせてやろうか》


「え……っ!?」



渚が目を見開く。


明らかに心が動揺しているのがバレバレで、

玉藻と迦楼羅が、にやりと笑った。



《私は、お前の本当の心がわかる。

本当は、完全な人間になって、

その男と一緒に生きていたいのだろう?》


「……!

か、勝手に人の心を見ないでよ!!」



顔を赤くして怒鳴った渚は、

その言葉が図星だと言っているようなものだった。



《その望み……私が叶えてやろう。

龍神剣さえ、渡してくれたら……

お前を人間にし、その男と二人だけ、生かしてやろう。

何の干渉もしない。

好きに生きていけばいい。


どうだ?

悪い条件ではないだろう》



渚が、こくりとつばを飲み込む音が聞こえた。