右手に剣を、左手に君を



《龍神剣を渡せ。

そうしたら、人間達の魂を身体に返し、

我らの奴隷として生かしてやろう》


「そんなの、嘘よ!

あなたが人間を助けてくれるわけない!」


「そうだ!

野田にだって甘い言葉を囁いて、利用して……

結局、魂をとってしまったじゃないか!」



俺たちの拒否の言葉に帰ってきたのは、高い笑い声だった。



「何言ってるの。

空亡様は、ちゃーんとあの子の望みをかなえてあげたのよ」



そう言ったのは、玉藻だった。



「なんだと……?」


《あの人間は、口にはせなんだがな。

心の中でつぶやいておった。

寂しい、寂しい。

苦しい、辛い。

何の希望も持てない。

明日の朝、目が覚めなければどんなにいいか、と》


「な……っ!」



汚いメガネをかけた野田の顔が、一瞬脳裏に浮かんだ。



《この世の破滅を望むと共に、

自分も認められない自分など、死んでしまえばいい。


苦痛も罪もない死に、あの人間は心の奥底であこがれていた》


「そんな……!」