ダメだ……!
そのまま、龍神剣を出現させてはいけない。
それを奪われたら、もう神ですら、空亡をどうにもできない。
しかし言葉は、悲鳴に変わる。
「あ、ぐ……っ!
あぁあ……っ!!」
触手ににぎり潰される身体のどこかで、みし、と音がした。
「が、は、あぁ……っ!」
途端に喉に血が昇り、口から出ていく。
あまりの苦しさに、息の仕方を一瞬忘れた。
「コウくん!!」
涙声の渚の身体から、ますます強い光が漏れる。
《そこか……!》
空亡がそれに気づいてしまった。
五本の指が生えた、腕のような触手がもう一本、その胸に伸ばされる……。
もう少しで届いてしまうと思った、
その時だった。
頭上で、ガラスが割れるような、
バリバリという硬い音がした。



