重い扉に、手をかける。


途端に、バチバチと、静電気のような衝撃が走った。



「これも、結界か……」


「……私が、やってみる……」



結界破りを得意とする渚が、階段を一段上がった。


俺の横に立ち、扉に片手をついて、意識を集中する。


その手に、そっと自分の手を合わせた。



「コウくん……」


「一緒に、開けよう」


「うん……」



渚はうなずくと、再び集中する。


静電気のようにまとわりついていた妖気が、渚の霊気で中和されていった。



「一緒に……」



その声に応えて、腕に力を込める。


その途端、結界が完全に消滅し。


ゆっくり、ゆっくりと……。


重い扉が、口を開いた。