右手に剣を、左手に君を



キズがふさがると同時に、身体が軽くなっていく。


お礼を言おうとした俺より先に、リカさんがぶっきらぼうに言った。



「ぼけっとしないの。早く行きなさい。


そして、人間が信用できるんだってところを、

わたしや海神様に見せて」


「……倶利伽羅竜王……」


「そうしたら、海神様の気が変わる事も……。

なきにしもあらず的な感じが、しないでもない……かも」



……望みは薄いんですね。


でも、ゼロじゃない。


大丈夫。


きっと、伝わる。



「ありがとうございます」



俺は、深く頭を下げた。


倶利伽羅剣が、やっと出番が来たと、

喜んでいるような気がした。