キズがふさがると同時に、身体が軽くなっていく。
お礼を言おうとした俺より先に、リカさんがぶっきらぼうに言った。
「ぼけっとしないの。早く行きなさい。
そして、人間が信用できるんだってところを、
わたしや海神様に見せて」
「……倶利伽羅竜王……」
「そうしたら、海神様の気が変わる事も……。
なきにしもあらず的な感じが、しないでもない……かも」
……望みは薄いんですね。
でも、ゼロじゃない。
大丈夫。
きっと、伝わる。
「ありがとうございます」
俺は、深く頭を下げた。
倶利伽羅剣が、やっと出番が来たと、
喜んでいるような気がした。



