右手に剣を、左手に君を



「……一人だけじゃ、不公平よね」



そう言うと。


まず、雅の首にそのしなやかな腕を絡め。


驚きで無抵抗の彼の唇に、自分の唇を重ねた。



「わっ!」



次に、顔を赤くした健太郎にも同じように……。



「な、な、何を……」



他人のキスシーンって、すごく照れるんだが。


放心する二人に代わり尋ねると、リカさんは平気な顔で答えた。



「私の力を分けたのよ。

これで、いい勝負ができるはず」


「…………」



神って、すごい……。


ぼんやりしている俺達を押し退け、ばあちゃんが、



「ありがとうございます!」



と、頭を下げた。


それを見て、俺達も頭を下げる。


何だかんだ言いながら、リカさんは俺達に力を貸してくれたんだ。



「あの……恒一には……」



雅が恐る恐る尋ねる。



「剣だけで、十分よ。

既に彼は、神の口づけを受けてるじゃない。

というか、勝手にしたでしょ?」


「は?」



もしかして、渚を目覚めさせた事を言ってるのか?



「あ、あれは、忠信の術で……」


「わかってるわよ。
だけど、あの時確かに接吻したでしょ?」


「は、はぁ……けど……」