「……一人だけじゃ、不公平よね」
そう言うと。
まず、雅の首にそのしなやかな腕を絡め。
驚きで無抵抗の彼の唇に、自分の唇を重ねた。
「わっ!」
次に、顔を赤くした健太郎にも同じように……。
「な、な、何を……」
他人のキスシーンって、すごく照れるんだが。
放心する二人に代わり尋ねると、リカさんは平気な顔で答えた。
「私の力を分けたのよ。
これで、いい勝負ができるはず」
「…………」
神って、すごい……。
ぼんやりしている俺達を押し退け、ばあちゃんが、
「ありがとうございます!」
と、頭を下げた。
それを見て、俺達も頭を下げる。
何だかんだ言いながら、リカさんは俺達に力を貸してくれたんだ。
「あの……恒一には……」
雅が恐る恐る尋ねる。
「剣だけで、十分よ。
既に彼は、神の口づけを受けてるじゃない。
というか、勝手にしたでしょ?」
「は?」
もしかして、渚を目覚めさせた事を言ってるのか?
「あ、あれは、忠信の術で……」
「わかってるわよ。
だけど、あの時確かに接吻したでしょ?」
「は、はぁ……けど……」



