つぶやいた左手が、突然金色に輝きだす。


そう、俺達が神剣を出現させるのと、同じように……。


リカさんは左手から、一振りの剣を出現させた。


刀身は草薙剣と同じように金色に輝き、

鍔(ツバ)に竜の飾りが巻きついていた。



「使いなさい」



リカさんはそれを、俺に差し出す。


ゆっくり手を伸ばすと、剣は自分から、俺の手の平におさまった。



「これは……」


「倶利伽羅剣(クリカラノツルギ)よ」


「くりからの、つるぎ……」



不思議な感じだ。


草薙剣より少しだけ長いそれは、

初めて持ったとは思えないほど、

しっくりと手になじむ。



「それは、草薙剣の姉妹の剣よ。

神代の昔、名のある神が産んだ剣。

それがいつの間にか別れていたの」



草薙剣の姉妹……。


と、いうことは。



「草薙剣と同じように、使えると思うわ」



確かに、少し霊力を集中しただけで、

鋭い雷の気配がする。



「……俺が借りて良いんですか?」


「そうよ」


「どうして……」


「私はすぐには動けないから。

その間に、あなた達でできる限りの事をしなさい」



そう言うと、リカさんは他の二人を見つめた。