ベッドに押し倒され、馬乗りになられるなんて……。
男として、想像もしてなかった事態が起こっている。
「見せなさい!」
そう言うと。
リカさんは、キズの痛みでクラクラしている俺の頭に。
ゴッ
さらに、頭突きを加えた。
「ぐぇっ!」
「黙りなさい!」
あ、頭突きじゃない。
これは、昨日もやられた……。
人の記憶を盗み見る術だ。
やがて額を離したリカさんは、俺から降りていった。
「そういうこと……」
ぼんやりする目を開けると、妹を心配するリカさんの顔があった。
「そうなんです、渚が危ないんです。
早く助けないと」
「お願いします。
渚を助けるために、力を貸してください」
今だとばかりに、雅と健太郎がリカさんに頭を下げた。
ばあちゃんも、ならって頭を下げる。
リカさんは困ったような顔をした。
「……どうしましょう……。
一度、海神様に報告してみなければ……」
千年前、勝手な行動をした渚は、海から追放された。
リカさんは自分もそうなる事を恐るのだろう。
「そんな事言ってる場合じゃない……」
俺がつぶやくと、リカさんはキッとこちらをにらんだ。



