右手に剣を、左手に君を




ドガアアアアァァァンッ!!



鋭い雷鳴が轟き、夜空を揺さぶる。


一本の雷が、草薙剣を降り下ろされた迦楼羅に……。


落ちた!!



「ぁ、はぁ……っ、はぁっ、は……っ」


雷が落ちた地から、よたよたと後ずさる。


今ので、霊力のほとんどを使ってしまった。


どうか、立ち上がらないでくれ……。


どうにか渚の元まで後ずさり、雷を落とした地点を見つめる。



「……げっ!」


「そんな……!」



信じられない光景だった。


雷は確かに、迦楼羅を直撃したはずなのに……。


草木の焼け焦げるニオイの中。


煙にまかれながら、黒い影が確かにそこに立っていた。



「所詮、この程度か……」



黒い影は、まさしく迦楼羅だった。


身体のところどころが焦げているが、致命傷というわけではなさそうだ。



「……ちっ!」



危険を感じ、渚から数歩離れた。


その瞬間……。



「もらった!」



声と共に迦楼羅が飛び込んでくる。


高速で突き出された短剣を、刀の腹で、何とか受け止めるが……!